出典:Wikiart
アンディ・ウォーホルが描いた「マリリン・モンロー」は、ポスターやTシャツなどのアートにも採用されるほど愛されている作品です。そんな「マリリン・モンロー」の絵画ですが、「撃ち抜かれたマリリンってどんな絵?」と思う方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、アートリエ編集部がアンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」について、その魅力や背景を詳しく解説します。また、「撃ち抜かれたマリリンたち」の魅力も併せて紹介します。
この記事を読めば、アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」について理解することができるので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
アンディ・ウォーホルとは?
アンディ・ウォーホルは、20世紀アメリカを代表する画家であり、ポップアートの巨匠として知られています。商業デザイナーからキャリアをスタートしたウォーホルは、1960年代にポップアートの第一人者として頭角を現しました。
ウォーホルの作品は、日常的なアイコンや大衆文化を題材にしたものが主体となっています。キャンベルスープ缶など、身近なものをアートにしている点が特徴です。
単なる視覚的な美しさだけでなく、アメリカ文化や消費社会を批評的に捉える深みを持ち、現代アートに多大な影響を与え続けています。
アンディ・ウォーホルのマリリン・モンローはどんな絵?

出典:Wikiart
アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」は、1962年に制作されたポップアートの代表作です。マリリン・モンローの宣伝写真をもとに、シルクスクリーン技法を用いて鮮やかな色彩で描かれています。
アンディ・ウォーホルが描いた「マリリン・モンロー」の概要
ウォーホルが描いた「マリリン・モンロー」は、映画『ナイアガラ』で使用された宣伝写真をもとに制作されています。マリリン・モンローの死後すぐに発表されたこの作品は、ウォーホルのシルクスクリーン技法を駆使したポップアートの代表作です。
鮮やかなピンクや黄色、青といった大胆な配色が特徴で、彼女の美しさと華やかさを強調しています。色彩の歪みやズレは、人間における個性の消失や名声の虚無感を暗示しており、一見明るい作品ながら深いメッセージ性を秘めています。
作品の意味と背景|なぜマリリン・モンローを題材にしたのか
ウォーホルがマリリン・モンローを題材に選んだ理由は、20世紀のアメリカを象徴するスターだったためです。マリリン・モンローの死後すぐに制作されたこの作品は、ウォーホルが生涯追求した「名声と消費文化」というテーマが反映されています。
マリリン・モンローの美しさと悲劇的な死は、大衆が憧れる一方でスターの儚さを象徴しています。マリリン・モンローをアイコンとして描くことで、消費社会のメカニズムや個性の喪失を批評的に捉えました。
マリリン・モンローを描いた絵の技法
ウォーホルは「マリリン・モンロー」の制作に、シルクスクリーン技法を採用しています。この技法は、写真をもとにメッシュを使って絵の具を布やキャンバスに押し込むもので、大量生産が可能な点が特徴です。
ウォーホルは同じイメージを何度も複製し、色彩やコントラストを調整することで、単一のイメージが持つ視覚的な変化を探求しました。また、色のズレや塗りのムラを意図的に残すことで、工業的な冷たさと人間的な不完全さを融合させています。
アンディ・ウォーホル「撃ち抜かれたマリリンたち」の魅力
出典:Wikiart
ここからは、アンディ・ウォーホルの「撃ち抜かれたマリリンたち」を紹介します。撃ち抜かれた経緯や美術館で高く評価される理由などを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
本当に撃ち抜かれた経緯
「撃ち抜かれたマリリンたち」が撃ち抜かれた経緯は、1964年にウォーホルのスタジオで発生した事件に由来します。この作品は当初、シルクスクリーン技法による「マリリン・モンロー」の複製画の1つとして制作されました。
ある日スタジオに訪れた女性アーティスト、ドロシー・ポドバーが発した「Shot」を「写真を撮って良いか」という意味に捉えて承諾したところ、銃を取り出して作品を撃ち抜いてしまいます。
結果、銃撃によってキャンバスに穴が空き、無傷で済んだのは別にしていた背景がターコイズブルーの絵だけでした。このような出来事が「撃ち抜かれたマリリンたち」という独特な名前と作品の価値を生み出しています。
美術館で評価される理由
美術館で高く評価される理由は、ポップアートの象徴であるマリリン・モンローの肖像と、破壊の要素が融合しているためです。
シルクスクリーン技法による機械的な再現性と、銃撃による破損のコントラストが、アートにおける創造と破壊の関係性を強調しています。
また、物理的に損傷を受けた状態がスターの栄光と虚無感や儚さを象徴しています。この独特な背景が、美術館での展示や研究で特別な位置を占める理由です。
アンディ・ウォーホルが描いたマリリン・モンローの価格は?
ここからは、アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」がいくらで取引されているのか、価値をみていきましょう。
250億円で落札
1964年に制作された「ショット・セージ・ブルー・マリリン」は、銃撃事件によって特別な価値を持つ作品となりました。この絵は2022年5月、ニューヨークで行われたオークションで約250億円(約2億ドル)の驚異的な価格で落札されました。
この価格はウォーホルの作品にとどまらず、現代アート全体で過去最高額となっています。オークションでは、多くの収集家や投資家が注目し、激しい競り合いが繰り広げられたようです。
この落札もあり、ウォーホルの影響力と作品が持つ普遍的な魅力が、改めて証明されました。
高額になった背景
「ショット・セージ・ブルー・マリリン」がこれほどの高額で取引された理由は、銃弾が関係しています。中でも「ターコイズ・マリリン」は銃で撃たれなかった唯一の作品として、過去の取引では8000万ドルで売却されました。
さらに、一発の銃撃で4枚のキャンバスが撃ち抜かれたという作品背景も評価され、「ショット・セージ・ブルー・マリリン」が高額になりました。
他のマリリンのアートも高額で取引されています。「ショット・レッド・マリリン」は日本人に410万ドルで落札されました。
マリリン・モンローの絵は何枚ある?
出典:Wikiart
アンディ・ウォーホルが制作したマリリン・モンローの肖像画は、1枚ではなく、多数存在します。特に、1962年に制作した「マリリン・ディプティク」は、25枚の肖像が左右に繰り返される作品として有名です。
2枚のキャンバスに50枚のマリリン・モンローをプリントした作品も、多くの人に知られています。シルクスクリーン技法を用いた制作のため、同じマリリンの画像を基に色彩や構図を変えたバリエーションが複数作られました。
ウォーホルは、名声や大衆文化を批評するテーマの一環として、「量産可能なアート」を制作しています。
アンディ・ウォーホルが描いたマリリン・モンローの肖像画
出典:Wikiart
アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」の肖像画は、ウォーホルの代表作として知られ、ポップアートの象徴となっています。ここからは、アンディ・ウォーホルが描いた「マリリン・モンロー」の肖像画を紹介します。
250億円で落札されたマリリン・モンローの肖像画
前述の「ショット・セージ・ブルー・マリリン」は、1964年にウォーホルが得意とするシルクスクリーン技法を用いて制作されました。ウォーホルの作品の中でも、高く評価されている作品です。
ディプティック
ディプティックとは、2枚組で構成された作品のことを指し、古代から宗教画や装飾美術などで用いられてきた形式です。アンディ・ウォーホルの「マリリン・ディプティク」もその名のとおり、2つのパネルで構成されています。
左側のカラフルな側は彼女のスターとしての輝きを、右側のモノクロ側は死や消費されるアイコンの虚無感を暗示している作品です。作品全体が持つインパクトと哲学性は、ポップアートを超えた芸術的価値を持ち続けています。
アンディ・ウォーホルの代表作については「アンディ・ウォーホルとは?ポップアートの象徴の来歴や作風、代表作について詳しく解説します!」でも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
アンディ・ウォーホルのマリリン・モンローはどこで観られる?
アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」シリーズは、世界各国の著名な美術館で鑑賞できます。ここからは、主な観覧可能な美術館を紹介するので、参考にしてみてください。
- アンディ・ウォーホル美術館
- ニューヨーク近代美術館
- メトロポリタン美術館
- テート・モダン
- 東京都現代美術館
※営業時間や入館料、休館日などの情報は変更になる場合があります。最新情報については公式ウェブサイトにてご確認ください。
アンディ・ウォーホル美術館
- 世界最大級のウォーホル作品コレクションを所蔵
- アンディ・ウォーホルの人生や制作過程を詳しく展示
- ピッツバーグの文化的象徴として地域イベントも開催
アンディ・ウォーホル美術館は、ウォーホルの出身地であるピッツバーグにあります。ウォーホルの作品約4,000点を所蔵し、生涯を網羅した展示内容が魅力です。
絵画だけでなく映画や写真など多彩なメディア作品も鑑賞できるため、ポップアートの発展を深く理解できるでしょう。
開館時間 | 10:00〜17:00(金曜は22時まで、12/31は15時まで) |
観覧料 | 一般:25ドル |
休館日 | 感謝祭、クリスマス、元旦、火曜日 |
アクセス | ピッツバーグ市中心部からバスで約15分 |
HP | https://www.warhol.org/ |
ニューヨーク近代美術館
- モダンアートの殿堂で世界的名画を多数所蔵
- ウォーホルの初期から晩年までの代表作を展示
- 最新技術を駆使した体験型展示が充実
ニューヨーク近代美術館(MoMA)は、現代美術の宝庫であり、アンディ・ウォーホルの作品も多数展示されています。「マリリン・モンロー」シリーズはポップアートを象徴する作品として特別展示されることがあり、美術館のハイライトとなっています。
開館時間 | 10:30〜17:30(毎月第1金曜は20:00まで) |
観覧料 | 一般:30ドル |
休館日 | 要問い合わせ |
アクセス | 地下鉄E線5番街/53丁目駅より徒歩4分 |
HP | https://www.moma.org/ |
メトロポリタン美術館
- 世界最大級の美術館で多様なコレクションを展示
- ポップアートに焦点を当てた特別展示を開催
- 歴史的背景を重視した展示解説が充実
メトロポリタン美術館では、アンディ・ウォーホルの作品がポップアートの文脈で展示されています。特に「マリリン・モンロー」シリーズは、大衆文化の象徴として解説され、訪れる人々に新たな視点を提供している作品です。
開館時間 | 10:00〜17:00 / 金・土:10:00〜21:00 |
観覧料 | 一般:30ドル |
休館日 | 感謝祭、1/1、12/25、5月の第1月曜日 |
アクセス | 地下鉄4、5、6線86丁目駅より徒歩10分 |
HP | https://www.metmuseum.org/ |
テート・モダン
出典:テート・モダン公式サイト
- ロンドンを代表する現代美術館
- 多彩な企画展とワークショップが充実
- テムズ川沿いの立地が観光客に人気
テート・モダンでは、アンディ・ウォーホルの作品がポップアートを中心とした展示の一部として公開されています。「マリリン・モンロー」シリーズは、ウォーホルの革新的な技法と大衆文化の融合を象徴する作品として、多くの注目を集めています。
開館時間 | 10:00〜18:00 |
観覧料 | 無料 |
休館日 | 12/24~26 |
アクセス | ブラックフライアーズ 南出口から徒歩2分 |
HP | https://www.tate.org.uk/visit/tate-modern |
東京都現代美術館
- 日本を代表する現代美術の拠点
- 世界的な名作と日本のアーティストの作品が融合
- 定期的にテーマ展やワークショップを開催
東京都現代美術館では、アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」シリーズが特別展で展示されることがあります。国内でウォーホル作品を鑑賞できる数少ない機会として、多くの来場者が訪れます。
開館時間 | 10:00〜18:00 |
観覧料 | 一般:500円~(企画による) |
休館日 | 月曜日(1/13、2/24は開館)、1/14、2/25、展示替え期間(11/11-27、12/2-13)、年末年始(12/28-1/1) |
アクセス | 地下鉄半蔵門線清澄白河駅より徒歩9分 |
HP | https://www.mot-art-museum.jp/ |
マリリン・モンローはどんな人物?
ここからは、マリリン・モンローがどのような人物だったのかをみていきましょう。ハリウッドスターでありながら、36歳の若さで死去した背景を紹介します。
ハリウッド史上最も輝くスターの1人
マリリン・モンローは、1950年代のハリウッドを象徴する存在で、輝きを放つスターの1人で す。モデル時代を経て女優へと転身した後は、映画「紳士は金髪がお好き」や「七年目の浮気」など数々の名作に出演し、世間の注目を集めました。
ブロンドヘアーとふっくらした唇、抜群のスタイルを持つセックス・シンボルとしても知られています。1955年の出演作である「七年目の浮気」で、下からの風にスカートがめくれ上がるシーンは世界中から注目を集めました。
映画「ナイアガラ」でみせた腰を大きく振ってセクシーに歩く、「モンロー・ウォーク」も有名です。マリリン・モンローにおける数々の伝説は、今でも多くのファンに語り継がれています。
数々の作品に出るも36歳で死去
輝かしいキャリアを築き上げたマリリン・モンローは、36歳の若さで死去しています。1962年に薬物の過剰摂取により突然この世を去りますが、死因をめぐってはさまざまな憶測が飛び交いました。
マリリン・モンローの死は世界中のファンに大きな衝撃を与えましたが、彼女の遺した映画や写真は今もなお多くの人々に愛されています。
まとめ
出典:Wikiart
この記事では、アンディ・ウォーホルが描いた「マリリン・モンロー」について解説しました。アンディ・ウォーホルにおける「マリリン・モンロー」の絵画は、ポップアートの集大成として人気です。
シルクスクリーン技法を駆使して描かれており、鮮やかな色彩と大胆な構図で観る人を魅了します。このシリーズは、モンローの儚い美しさとウォーホルの卓越した表現力が融合した、アート界の不朽の名作といえるでしょう。
この記事を参考に、アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」を堪能してみてください。アートリエではアートに関する情報を発信しています。アートのことをもっと知りたいという方は、こまめにウェブサイトをチェックしてみてください。
また、実際に絵を購入してみたいという方は、活躍中のアーティストの作品をアートリエで購入、またはレンタルすることもできます。誰でも気軽にアートのある生活を体験することができるので、ぜひお気に入りの作品を探してみてください。