購入した絵画の収納場所や環境などに悩む方は少なくありません。素敵な作品だからこそ、しっかりと保管して、長持ちさせたいものです。絵画は、適切な収納場所で保管するだけではなく、保管前にしっかりと手入れをする必要もあります。
この記事では、絵画の収納に適している場所の紹介や収納前の手入れの方法などを解説します。注意点もあわせて紹介するため、絵画を長持ちさせたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
絵画を収納する際のよくある悩み
絵画を所持している方にありがちな、収納する際の不安や悩みは以下のとおりです。
- 収納場所
- 汚れや色落ち
- 湿気によるカビ
- 害虫被害
収納場所の確保ができても、収納環境によって被害が出てくるかもしれません。それでは、詳しくみていきましょう。
収納場所
まず考えられるのが、絵画の収納場所に対する不安です。収納場所の確保はできていても、絵画の大きさによっては、収納が難しい場合があります。サイズの大きな絵画や複数の絵画が傷つけあわないよう、十分な広さや高さのある収納場所が必要です。
汚れ・色落ち
絵画は、汚れが付きやすく色落ちもしやすいです。特に日光が当たる場所に収納した場合、紫外線が黄ばみの原因にもなります。収納場所に埃が多く、埃がこびりついてしまうと絵画の美しさが損なわれかねません。
また、収納の際に壁に擦りつけてしまったり、複数の絵画が傷つけあったりすることが原因で汚れがついたり、色落ちしてしまったりすることもあります。
湿気によるシミやカビ
収納場所の湿気が多く、シミやカビの発生につながってしまうのではないかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。島国である日本は湿気が多いため、シミ・カビが発生しやすく、絵画が劣化してしまいます。また、額縁から出てくるサビによって絵画が修復不可能になることもありえます。
害虫
絵画を収納した後に、害虫によって絵画が破損してしまうこともあります。収納場所にいる害虫の死骸・卵・排せつ物が絵画に付着してしまうと、絵画が食い破られたり腐ってしまったりします。長期間保管をする場合、害虫被害に気づきにくいため、絵画が大きなダメージを受けてしまうかもしれません。
絵画を収納するのに適切な環境
絵画の収納に適した環境は、十分な広さの湿気がこもらない日陰かつ風通しの良い場所です。
絵画の大きさに対して広い収納場所は、絵画が傷つく心配がありません。長期間収納するほど絵画を取り出す頻度が減るため、湿気がこもりやすくなります。定期的な換気で湿気を逃がしたり、害虫がいたりしないかチェックしましょう。また、絵画の黄ばみや変色の原因となる紫外線を避けるように収納することも大切です。
絵画の収納方法
絵画の収納場所は、絵画の美しさを長持ちさせるためにもこだわる必要があります。収納方法もこだわることで、さらに保管状況も良くなるでしょう。絵画を保管する際は以下がおすすめです。
- ケースに入れる
- 棚に置いておく
- トランクルームへ入れる
著しい劣化を防ぐためにも、収納方法にこだわることは大切です。各収納方法について、詳しく解説していきます。
ケースに入れて収納する
絵画をケースに入れて保管すれば、害虫や湿気によるシミ・カビを防いでくれます。ただし、さまざまな特徴を持つケースがあるので、絵画に合わせてケースを選ぶ必要があります。
ワンタッチタイプのケースは、手軽に取り扱いたいという方におすすめです。また、中性紙ケースは、保護紙が使用されていて、光や湿度などから絵画を守ってくれるので安心です。
桐箱のケースは、害虫や破損から絵画が守ってくれます。絵画に使用している素材やどのように保管したいかを基準にケースを選びましょう。
棚に置いて収納する
絵画を棚に置いて収納する方法もおすすめです。絵画を置く向きは縦置き・平置きがあり、それぞれの置き方はメリットが異なります。
大きいサイズの絵画を収納する際は、縦置きができる棚であれば場所を取りません。一方、平置きの棚にすれば、絵画を制作する場合にも利用でき、乾燥させやすいです。通気性の良いラック型の棚は、湿気の対策になります。
小さいサイズの絵画でも、縦置きではなく平置きにすると、絵画に傷がつく不安や埃の心配がありません。
トランクルームに入れて収納する
絵画の収納場所をトランクルームにすれば、十分なスペースを確保できます。家に収納スペースがなかったり、絵画にとって適切な収納環境を整えられなかったりした場合におすすめです。トランクルームは、湿度も高くなく直射日光もありません。
月額利用料を支払えば、利用期間が設定されたセキュリティ対策の収納場所になります。絵画を収納する前に、トランクルームの見学をして環境や広さなどを確認しておきましょう。
絵画を収納する前は手入れをする
絵画の収納方法・収納場所が決まった後は、収納前に絵画の手入れをしておきましょう。手入れの方法は以下のとおりです。
- 汚れを落とす
- 湿気を取る
- 破損・汚損をしていたら修理しておく
収納場所が綺麗でも、絵画自体に汚れや湿気が付いていると、絵画が劣化する原因につながります。できる限り、丁寧に手入れをするという意識を持つことが大切です。
絵画の汚れを落とす
収納前に絵画の汚れを落としておくと長期的に保管するのにも安心です。目立つ汚れがないか目視して、汚れを見つけたら、新たな汚れにならないように綺麗にしましょう。絵画の汚れを自分で落とす際は、無理矢理取り除こうとしたりゴシゴシ拭いたりすると、絵画自体に傷がついてしまうので注意をしましょう。
また、絵画の表面を素手で触ると皮脂や手の汚れが絵画に付着する可能性もあります。業者に依頼して、適切に清掃をしてもらうのがおすすめです。
額縁の汚れを落とす
絵画だけではなく、額縁の汚れをしっかり綺麗に落としておきます。額縁に使用されている材質によっては、絵画に大きな汚れを招く恐れがあるからです。例えば、金属製の額縁の場合、サビが出やすく予防しなければなりません。
木製の額縁の場合、水や湿気・薬品への耐性がないため、絵画が変色する可能性があります。額縁の汚れを落とすには、専用の洗剤を使用して優しく拭いて落としましょう。模様の細部には、綿棒を使用することもおすすめです。
絵画の湿気を取る
収納前に絵画の湿気を取っておきましょう。カビや害虫が発生し、温床になってしまうこともあるため、湿気を取った状態にすると安心です。湿気を落とす方法は、日陰干し・虫干しなどです。
ただし、油彩の絵画は過度に乾燥するとひび割れの原因になるため、適度な湿度を残しておきます。また、複数の絵画を収納する際は、重ねて収納しないようにしましょう。重ねて収納すると絵画のすき間に湿気がこもりやすくなり、カビが発生するため注意が必要です。
ひどい汚れや破損があれば修復してもらう
絵画にひどい汚れや破損があった場合は、専門業者へ依頼して修復をしましょう。絵画についた汚れや黄ばみは専用の洗剤での洗浄、色褪せに対しては特別な洗浄が必要です。また、キャンバスに裂け目や穴があれば、裏打ちなどの処理をする必要があります。
絵画の修復には専門的な知識や方法が必要なため、職人が対応することがほとんどです。修理費用の相場は、数万円〜数十万円と言われています。
絵画を収納する際の注意点
絵画を収納する際は、縦にした状態で収納・保管をしましょう。平置きや横にした状態の場合、触れる床面積が多くなり、絵画の汚損や破損の原因につながってしまいます。なぜなら、湿気は水分を含んでいるため、徐々に床に落ちていくからです。
縦にした状態であれば、絵画が触れる床面積が小さくなるので、湿気から絵画を守ることが可能です。また、絵画を下に置いて荷物などを重ねてしまうと、重みで形が変形してしまうかもしれないので注意しましょう。
収納する際は絵画にとって良い環境作りを意識してみてください。
まとめ
この記事では、絵画の収納方法・適切な環境について解説していきました。絵画にとって湿気や紫外線などがある環境は、作品の美しさを奪われることになります。遮光性がある・除湿性がある・適温の収納場所を選べば、絵画を長期的に保管することが可能です。
また、収納する前には絵画や額縁の汚れをしっかり落として、立てかけた状態で収納しましょう。風通しがあまり良くない場合、湿気は床に溜まりやすいため、絵画が触れる床面積を小さくすることが大切です。
収納する絵画は良い状態にすれば、綺麗な状態で長期的に保管ができます。