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2024.05.23

【わかりやすく解説】アートとは?その定義と美術・芸術との違い

【わかりやすく解説】アートとは?その定義と美術・芸術との違い

アートとは何か

「アートとは何か」。とても難しい問いですね。

辞典では「アート」は、「美術や芸術」と定義されています。それでは「美術」や「芸術」には本来、どんな意味があるのでしょうか。

こちらも辞書によれば、「作品の創作や鑑賞によって精神的な充実感を感じる文化活動」とあります。わかりやすくいえば、心を打たれるモノを作ったり見たりすること、といったところでしょうか。現在、日本人の私たちが「アート」というときは、こうした芸術や美術をより身近に感じるために、カジュアルなニュアンスで発音している側面もあります。

一般的にアートといえば絵画、彫刻を思い浮かべますが、どのようにとらえるかは状況によって異なります。普段はあまり考えることがないアートの本質、それを知ればアートがより親しいものに感じられることでしょう。この記事では「アートとは何か」について、アートリエ編集部がわかりやすく解説します。

アートの定義と本質

色とりどりの抽象画

私たちは、ごく自然に「アート」という言葉を口にしたり目にしたりしています。

アートという言葉は、どこから生まれたのでしょうか。アートの本来の意味とその歴史的背景も含めて、定義と本質を見ていきましょう。

アートの本来の意味とその歴史的背景

アートという言葉の由来は、ラテン語の「ars」にあります。この言葉にはもちろん、芸術や芸術作品という意味もありますが、技術や学術、手段という意味も持っています。

日本には「リベラルアーツ」をベースに講義をする大学があります。リベラルアーツは古代ローマの「liberales artes」のことで、文法や修辞学、幾何学や音楽などさまざまなカテゴリーを含みます。これは純粋な教養であり、実用的な目的とは一線を画すものです。

アートの広義な定義と狭義の定義

現在も西洋では、アートという言葉に「技術」や「手腕」という意味が含ませています。「小説の技法」も「パンを作るための技術」も、アートという言葉が使われるのです。つまり広義な定義でいえば、アートはさまざまな分野を内包しているわけです。

一方で日本では、アートというと学芸や技術以外の芸術を指すことが多いのが実情。その意味で、日本のアートは狭義に定義されているといえます。

ちなみに、アートの対義語は「自然」。アートは人の手が触れて完成するものですが、自然は人間の手が加えられていないものを指します。

アート、芸術、美術の違い

絵の具で描かれたARTの文字

「アート」「芸術」「美術」の3つの言葉。私たちはほぼ同義語として使用しています。

実際には、この3つの言葉にはニュアンス的に相違があります。それぞれの言葉の意味を明確にして、違いを感じてみてください。

「芸術」と「美術」の違い

まずは、芸術と美術の違いを見ていきましょう。

芸術の定義は、次のようなものです。

  • 文学
  • 音楽
  • 造形美術
  • 演劇
  • 舞踏
  • 映画

そのほかデザイン等も含めたものの総称が「芸術」です。つまり、「アート」という言葉の語源である「ars」本来の意味に近いコンセプトを持つのが芸術なのです。一方美術という言葉は、明治時代に生まれました。フランス語の「beaux-arts」、英語の「fine arts」を直訳したものです。

美術という言葉が生まれた明治時代初期は絵画、彫刻、建築、工芸などのほか詩歌、音楽、演劇、舞踊も含まれていたのです。坪内逍遥が著した『小説総論』では、文学は美術のひとつとされています。しかし時代の流れとともに、美術という言葉のコンセプトが変化します。

現在は美術といえば、造形美術に特化して使用されることが大半。美術館、美術家といった言葉をイメージすると、その概念がわかりやすいかもしれません。百科事典によれば、美術という言葉は時代とともに概念が変革する性質があり、本質的な定義は難しいとのこと。現在は「目を楽しませるもの」というニュアンスで定着しているようです。

「アート」と「芸術・美術」の違い

美術とは、芸術の中から独立したカテゴリーのひとつ。それでは、芸術や美術とアートとは、どのような違いがあるのでしょうか。

日本で使われるアートという言葉は、ほぼ和製英語と考えてよいでしょう。英語のArtは古代のラテン語のArsが持つ意味とほぼ同じで、さまざまな事象を含んでいます。しかし日本のアートは、英語のArtとは趣を異にします。かぶっている部分もあるのですが、厳密には同義語ではありません。実は日本のアートという言葉は、芸術や美術のハードルの高さを緩和させる働きを持っています。

「美術好き」と表現するよりも「アート好き」と表現するほうが、ニュアンスが柔らかくなります。文化活動や運動にアートという言葉を使うことで、「芸術=高尚なもの」というイメージからより馴染みやすい存在になります。定義はあいまいですが、精神や脳を刺激する事象を、アートとして総括しているわけですね。

アートとデザインの区別

鉛筆を持つ人

創作的活動にはアートのほかにデザインがあげられます。

この章では、アートとデザインの違いについて解説します。

アートとデザインの本質的な違い

アートは芸術や美術の一部を親しみやすく表現した言葉です。実用性は考慮に入れず、心を豊かにするためのアクティビティといった意味合いがあります。いっぽうデザインは、「指示する・表示する」という意味のラテン語「designare」に由来する言葉であることからも明らかなように、具体性と実用性を伴ったものです。

英語の「Art」も、場合によっては「建築以外の芸術」と定義することもあります。建築は明確な目的を持って行うことから、他の芸術とは別のカテゴリーになるというわけです。デザインという概念は、1925年にワルター・グロピウスが著した『国際建築』に端を発したといわれています。機能美学とも称され、実用面を考慮した造形作品を作ることがデザインの基本です。

いっぽうアートは作成する人にとっては感情表現であり、鑑賞する人にとっては純粋な教養のひとつ。つまりアートとデザインの違いは、実用性の有無にある、と覚えておきましょう。

アートのカテゴリー

一般的にアートと呼ばれるカテゴリーには、さまざまな活動があります。それぞれのカテゴリーについて、改めて定義を解説します。

絵画

絵画は、線や色彩を駆使して物の形を平面上に描き出したもののことです。顔料、鉛筆、パステルを使い、紙やキャンバスに描くのが通常です。

彫刻

石や金属、木を素材にして立体的な像を作るのが彫刻です。絵画が二次元での表現なのに対し、彫刻は三次元空間を使うのが特徴です。

建築

技術や技法を用いて、建物を土台から創り上げるのが建築です。

工芸

優れた素材や技術を使い、美的要素を盛り込んで道具を製作するのが工芸です。美と実用性を兼ねていることが大半です。

その他のアートカテゴリー

アートにはそのほか、肉体的所作や映像を組み合わせたパフォーマンスアート、環境も取り込んだインスタレーションなど、前衛的な美術を指すこともあります。

アートの役割と意義

実用性を内包していないアート。それでは私たちの生活の中で、アートはどんな役割や意義を持っているのでしょうか。アートは人類の歴史とともにありました。ホモサピエンスやネアンデルタール人たちが洞窟壁画を残していることでも明らかなように、造形美術としてのアートは人間の社会に存在してきたのです。

社会や時代によって、その意味は異なります。宗教的、道徳的な意味を持つものもあれば、政治的に大きな役割を果たしたアートもあります。古代ギリシアのように、理想である「真善美」に近づくための手段とすることもありました。

その意味ではアートの存在は、人間にとって普遍的な意味を持ちます。一方で、創作する人の思いや感情が表現されるアートは、とても個人的なものです。アートを鑑賞することに明確な答えはなく、見る人に充足感を与えたり刺激を与えたり、精神面に影響を与えます。

「人間はパンのみにて生きるにあらず」。

アートは心の糧として、私たちの生活を豊かにしてくれるものなのです。

アートにまつわる話

たくさんの筆

アートについて知ったところで、アートにまつわる楽しいお話をいくつかご紹介します。アートは人生を豊かにしてくれるもの。そんな気持ちで楽しんでみてください。

多言語におけるアートの表現

日本語ではアートと発音し、英語ではArtと表記するこの言葉。多言語ではどんな表現になるのでしょうか。

フランス語 Art(アール)

スペイン語 Arte(アルテ)

イタリア語 Arte(アルテ)

中国語 艺术(イーシュー)

韓国語 예술(イェスル)

実際に発音してみても楽しいですね。

世界保健機関(WHO)が推奨するアートとの暮らし

アートに関しては、世界保健機関がとても興味深い提唱をしています。

それはこんなことです。

アートは人類の歴史の中で不可欠な役割をしてきただけではなく、病気と闘う人の心に寄り添ってくれたり、困難な出来事を乗り越える手助けをしてくれるものです。健康の促進のためにはアートが役立つことが判明しつつあり、将来的にはアートが医療と手を組む可能性もあります。

実際にカナダでは、医師の処方箋として美術館の無料チケットが患者さんに渡された例もあるそうです。身近にアートを置くことで、健全な毎日を送ることができるかもしれませんね。

アートが楽しめる場所

絵画を見る女性の後ろ姿

人間の歴史を陰に陽に支えてきたアート。興味を持ったら、アート体験をしたくなります。アートはどんな場所で楽しむことができるでしょうか。

アートがある場所といえば、まず美術館です。各地には、スケールこそ異なりますが、さまざまな美術館があります。アートに関する知識がなくても、ふらっと訪れてみるのも素敵です。またデパートやイベント会場のギャラリーでも、テーマの異なる美術展が開催されます。情報収集すれば、今日にでも見に行ける美術展があるかもしれません。

自分のアート志向が把握できたら、好きな作品を所有するのもおすすめ。常に心に寄り添ってくれるアートが身近にあることは、大きな癒しです。思い立ったが吉日、ぜひアートリエのサイトで伴侶となるような作品を見つけてみてください。

アートの鑑賞と理解

アートと無縁で過ごしてきた人にとって、はじめてのアートは敷居が高いもの。しかし昨今のアートは、サブカルチャーを取り入れた親しみやすいものもたくさんあります。まずは興味が持てそうなアートに触れることから始めてみましょう。たとえばテレビや動画で見たドキュメンタリーから、アートに興味を持つのもひとつの手です。

初心者にもわかりやすい美術館の音声ガイドなども利用して、ある程度作品やアーティストの情報を得ておくと、アートは理解しやすくなります。ひとつのことに興味を持つと、芋づる式にあれこれアートについて知りたくなり、アートの世界へと足を踏み入れることになります。

アート鑑賞に正解はありません。さまざまな解釈はあっても、自分の感性で咀嚼して楽しめるものです。アートに興味を持つことで得る知識は、アート以外の世界ともつながります。人生をより楽しむためにも、ぜひ身近なアートから親しんでみてください。

まとめ:アートは人間礼賛!その真髄をぜひ生活の中に

アートという言葉が本来持つ意味はとても深く、西洋ではエリートたちの必須科目でした。明治時代に西洋の事物が渡来して以降、芸術や美術という言葉がさまざまに解釈された結果、アートという言葉も日本独自のニュアンスを持つようになったのです。

アートは心を豊かにして、ときには健康にさえ寄与してくれることが報告されています。お気に入りのアートの作品を身近に置くことで、新しい人生に踏み出せるかもしれません。

アートリエではアートに関する情報を発信しています。アートのことをもっと知りたいという方は、こまめにウェブサイトをチェックしてみてください。

また、実際に絵を購入してみたいという方は、活躍中のアーティストの作品をアートリエで購入、またはレンタルすることもできます。誰でも気軽にアートのある生活を体験することができるので、ぜひお気に入りの作品を探してみてください。

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著者
ARTELIER編集部

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