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2026.04.07

オーストリアを代表する画家クリムトの作品を時代別に解説!

オーストリアを代表する画家クリムトの作品を時代別に解説!

金色の煌びやかな色使いで、恋人が頬にキスをしている…そんな幸せな様子を描いた絵画を1度は見た事があるのではないでしょうか?その絵画を描いた人こそ、オーストリアを代表する画家「グスタフ・クリムト」です。

この記事では、クリムトが描いた有名な作品を通して、彼の芸術の特徴や時代ごとの変遷、初期から晩年までの代表作などを取り上げ、絵画に込められた意味や彼の独自のスタイルをアートリエ編集部が解説いたします。

この記事を読むことで、クリムトの世界観をさらに理解し、美術館に訪れた時にさらに彼の作品について深く楽しむことができます。

初期の作品(1880年代)

クリムトの初期の作品では、アカデミックなスタイルや、神話や歴史を題材にした作品、象徴的な要素の萌芽、控えめな色彩と写実的な描写が特徴として見られます。

では、それらが実際にどのように表現されていたのか、実際の初期のいくつかの代表作を例に、アートリエ編集部が以下にて解説いたします。

寓話

寓話

作品概要

  • 作者:グスタフ・クリムト
  • 作品名: 寓話
  • 制作年: 1883年
  • 技法・素材: 油絵、キャンバス
  • サイズ: 40x50cm
  • 所蔵先: ウィーン・ミュージアム
  • ジャンル: アカデミックアート
  • 様式: 自然主義、象徴主義

作品解説

クリムトの初期作品である《寓話》は、彼の若い頃の作品で、物語や神話を題材にした作品です。クリムトは1862年生まれのため、この作品を描いたのは彼が21歳頃となります。

この時期は、クリムトがまだ若手の画家として活動を始めた初期の段階にあたり、伝統的なアカデミックアートの技法を習得しながら、自身のスタイルを模索していた時期でもありました。また、この時期のクリムトのスタイルは、伝統的な絵画の技術を学び、細かい描写で現実的な世界を描く自然主義に近いスタイルが特徴です。

ただ、この時期にはすでに後に見られるような象徴的な要素も少しずつ現れており、感情や道徳観、知恵や真実、人生の儚さや無常さなど、絵の中に隠されたメッセージを感じ取ることができます。この作品は、見る者に物語や象徴を通じて人生や道徳について考えさせてくれる作品であり、クリムトが早い時期から精神的、哲学的なテーマに関心を持っていたことが分かります。

また、この作品は、彼の後の黄金時代とは違い、シンプルで静かな色使いも印象的です。

ウィーン分離派時代(1890年代)

ウィーン分離派(Wiener Secession)は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、オーストリアのウィーンで生まれた芸術運動およびそのグループのことを指します。伝統的なアカデミックな美術から離れ、より自由で革新的な表現を追求するために結成された運動のことで、1897年にグスタフ・クリムトを中心とする若手芸術家や建築家たちが、保守的なウィーンの美術アカデミーに反発し、独自の活動を始めたことが始まりでした。

この頃のクリムトの絵画スタイルは、従来のアカデミックなスタイルから離れ、装飾的なスタイルや象徴主義的なテーマ、金箔の使用やフラットで象徴的な構図、そしてエロティシズムと女性の描写や自然や生命のモチーフ、といったた革新性が特徴的なスタイルを確立しました。そして、伝統的な美術から脱却し、象徴的で装飾的なスタイルを取り入れ、金箔や幾何学的パターン、官能的な女性像を通じて、生命、愛、死といった普遍的なテーマを探求し、アートの世界におけるクリムト独自の地位を確立しました。

以下では、この時期の彼の作品である《裸のヴェリタス》の作品を例として取り上げて解説をいたします。

裸のヴェリタス

裸のヴェリタス

作品概要

  • 作者:グスタフ・クリムト
  • 作品名:裸のヴェリタス(Nuda Veritas)
  • 制作年: 1899年
  • 技法・素材: 油絵、キャンバス
  • サイズ: 200x105cm
  • 所蔵先: ウィーン・ミュージアム
  • ジャンル: 象徴主義
  • 様式: ウィーン分離派

作品解説

《裸のヴェリタス》は、クリムトがウィーン分離派の一員として活躍していた時期の代表作で、この時期のクリムトは伝統的な芸術に対する反発を強く表現し、自由で個性的なスタイルを追求していました。この作品では、後の彼のきらびやかなスタイルとは違い、シンプルで力強い表現が特徴です。

また、真実(ヴェリタス)を裸で描く、という大胆なコンセプトが当時大きな話題を呼び、絵に描かれた「ヴェリタス(真実)」の裸の姿には、真実は隠されるべきではなく、美しく力強いものとして開かれるべきだ、というメッセージが込められています。また、大胆な女性の裸体描写は、当時の芸術界にも大きな衝撃を与えました。

そして、クリムトはこの作品において、女性を真実の象徴として描いています。19世紀末のウィーンでは、女性がしばしば象徴的に描かれることがありましたが、クリムトは女性を単にエロティックな対象として描くのではなく、知恵や力、真実を表現する存在として描きました。この作品の女性も、力強く独立した姿で立っており、真実を自らの力で表現しているようにも見えます。

黄金時代(1900~1908年)

クリムトの黄金時代は、彼のキャリアの中でも最も輝かしい時期であり、そのスタイルや特徴が大きく変化し、彼の代表的な作品が数多く生まれた時期でもありました。

この時期における彼の作品は、官能的・象徴主義的なテーマを用いた装飾的・象徴的で豪華なスタイルが特徴で、特に金箔の使用が目立ちます。また、この時期にはフラットな構図と装飾背景も特徴で、この時期の作品には東洋美術やビザンティン美術の影響も見られます。以下では、この黄金時代の代表作のいくつかの例を元に解説していきます。

接吻

接吻

作品概要

  • 作者: グスタフ・クリムト
  • 作品名: 接吻 (Der Kuss)
  • 制作年: 1907-1908年
  • 技法・素材: 油絵、金箔、キャンバス
  • サイズ: 180x180cm
  • 所蔵先: オーストリア・ベルヴェデーレ宮殿
  • ジャンル: 象徴主義
  • 様式: 黄金時代

作品解説

《接吻》は、クリムトの「黄金時代」を象徴する作品であり、彼の代表作として多くの人々に知られています。この作品では、恋人同士が抱き合う姿が描かれていますが、特に目を引くのは金箔を使ったきらびやかな背景です。

金色が画面全体に使われ、神秘的で幻想的な雰囲気を作り出しています。クリムトは、この作品で人間の愛と情熱を美しく表現し、官能的でありながら神聖さも感じさせる独特のスタイルを完成させました。観る者を魅了する豪華さと深い感情が、この時期のクリムトの特徴と言えます。

晩年の作品(1910年~)

クリムトの晩年の作品には、内省的で哲学的なテーマが深まり、過去の華やかな「黄金時代」とは異なる特徴が表れています。そのいくつかの例として、よりシンプルな色彩を使用するようになったことや、金箔の使用が減ったこと、そして官能性と抽象性が融合し、抽象性が強化され、大胆な筆致と自由な表現のスタイルへと変化したことが挙げられます。以下の作品では、その特徴を感じ取ることができます。

死と生

死と生

作品概要

  • 作者:グスタフ・クリムト
  • 作品名: 死と生 (Tod und Leben)
  • 制作年: 1910-1915年
  • 技法・素材: 油絵、キャンバス
  • サイズ: 178x198cm
  • 所蔵先: レオポルド美術館
  • ジャンル: 象徴主義
  • 様式: 晩年の様式

作品解説

《死と生》は、クリムトが晩年に描いた作品で、人生と死の対比がテーマとなっています。左側には生命の象徴として人々が描かれ、右側には骸骨が死を象徴するかのように描かれています。この作品は、クリムトが深く考えた哲学的なテーマを反映しており、人生の儚さや死の避けられない現実を表しています。

この時期のクリムトの作品は、黄金時代の華やかさとは異なっており、内面的で深いテーマに焦点を当てています。金箔は使われていませんが、彼の技法はより成熟し、簡素な中にも力強いメッセージが込められています。

まとめ

クリムトの作品を見ると、その時代ごとの変化をよく表しており、見れば見るほど興味深く魅力的な作品ばかりです。初期の写実的な作風から、ウィーン分離派での大胆な表現、そして金箔を使った黄金時代、晩年の深遠なテーマに至るまで、彼の芸術は一貫して人間の感情や人生を描き続けました。そんなクリムトの作品から芸術の豊かさを感じるために、美術館に実際に訪れ、彼の作品に触れてみてくださいね。

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