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2024.12.24

現代美術とは?定義から楽しみ方・ジャンル・有名作品まで詳しく紹介!

現代美術とは?定義から楽しみ方・ジャンル・有名作品まで詳しく紹介!

出典:Artland magazine

現代美術に関して詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。現代美術の作品を見ても作者の意図が掴めず、「意味不明な作品に見えてしまう」「現代美術は難しい」などとマイナスイメージもあるかもしれません。

そこでこの記事では、現代美術とはどのような作品か解説します。また、現代美術の楽しみ方やジャンル・有名な作品を併せて紹介します。この記事を最後まで読めば、現代美術の楽しみ方がわかるでしょう。

現代美術とは?

ジャクソン・ポロック作「コンバージェンス」

出典:jackson-pollock.org

現代美術とは20世紀後半から21世紀に生み出された作品のことで、20世紀前半以前の作品とは手法が違います。現代美術の特徴は技法や作品の形態に関わらず、作品の意味や意図が含まれている自由なアートである点です。ここでは、現代美術について詳しく解説します。

広義の定義と狭義の定義

現代美術の広義的な定義は1950年以降に制作された作品のことを指します。しかし、1950年以降に出されたすべての作品が現代美術と分類されるわけではありません。1950年以前の美術の固定観念を覆す時代に先駆けた表現をされている作品を現代美術といいます。

反対に現代美術の狭義的な定義は、時代の社会情勢に対するメッセージや問題提起が込められた作品です。1950年以前のアートや芸術とは違い、作者が込めた思いを考えながら作品を楽しめるのが特徴です。広義的な定義は1950年以降と幅広く、狭義的な定義は作品を作る時の時代背景を意味します。

マルセル・デュシャンの登場

マルセル・デュシャンの登場を境に、アートに対する認識が変化していきます。目で見て楽しむアートから考えて楽しむアートになりました。デュシャンが登場する以前の作品は目で受ける刺激や快楽を与えることが当たり前でした。しかし、デュシャンがアートに対する制度に疑問を抱き、投げかけたことがきっかけで現代美術が始まります。

マルセル・デュシャンの登場により、アートの常識が覆され「作品を起点として鑑賞者が思考をめぐらし、そして鑑賞者の中で完成される」という認識が広まり、考えて楽しむアートになりました。

近代美術との違い

ラスコー洞窟の壁画(フランス)

出典:Wikipedia

近代アートと現代美術の違いは、鑑賞者に与える価値観です。近代アートは権力の誇示や宗教のために描く特定の思想や信念の意味が込められていました。

近代アートは主にヨーロッパを中心に広がり、1860年代から第一次世界大戦まで続いたようです。近代アートは「モダンアート」とも呼ばれています。近代アートは目で見て楽しめるアートに対し、現代美術は考えて楽しむアートです。近代アートとの違いは鑑賞者に与える「体験の違い」といえるでしょう。

コンテンポラリーアートやコンセプチュアルアートとの関連性

コンセプチュアルアートは1960年代から70年代にかけて世界中に広まりました。従来の価値観とは異なり、美しさや技術力ではなくコンセプトやアイデアが重視されています。

また、コンテンポラリーアートはデュシャン登場以降の現代美術と同じで、現代のアートを意味しています。ただし、特定の期間や時代の流行を指すのではなく、時代の社会情勢を反映し、さまざまなメディアや表現方法を取り入れた作品です。コンテンポラリーアートはアーティストの自由度や独自性を重視しています。

両者は現代美術の中でも重なる部分が多く、特にコンセプチュアルアートはコンテンポラリーアートの一部として位置付けられますが、コンテンポラリーアートはより広範で多様な表現を包含しています。

現代美術鑑賞の楽しみ方

展示風景より、《不確かな旅》(2016 / 2019)

出典:美術手帖

現代美術の楽しみ方は作品に込められたコンセプトを考えることです。以前は技巧や色がきれいで素晴らしいという見て楽しむ価値観でしたが、デュシャンの登場でコンセプト重視に変わりました。コンセプトを理解するためには、時代の社会背景や政治、宗教などを知る必要があります。

たとえば、ドイツのアーティストのヨーゼフ・ボイスが有名です。「すべての人間は芸術家である」という理論です。代表的なプロジェクトで「7000本の樫の木」は樫の木と玄武岩をセットに生と死を象徴した2つの世界で構築されています。

現代美術のジャンル

絵画以外の現代アート

出典:This is Media

ここでは、現代美術のジャンルを紹介します。現代美術の中には多くのジャンルがあり、それぞれ異なる特徴があり、ジャンルを知っておくとアートの世界が少し広がるでしょう。現代美術のジャンルは以下のとおりです。

  • アクションペインティング
  • モダンアート
  • ポップアート
  • 抽象表現主義
  • パフォーマンスアート
  • ミニマルアート
  • フォト・ペインティング
  • ネオポップ
  • 具体美術
  • ポストモダン

それぞれ詳しくみていきましょう。

アクションペインティング

アクションペインティングは「ジェスチュラル・ペインティング」とも呼ばれています。特徴としては絵具を紙やキャンパスに丁寧に塗るのではなく、絵具を飛び散らしたり垂らしたりする手法で作品を描くスタイルです。

たとえば、具体的な対象を描くのではなく、絵を描くというアクションそのものを重視しています。主な代表作家はジャクソン・ポロックの「No.5,1948」です。

モダンアート

モダンアートは20世紀に広まった比較的新しいアート作品です。「キュビスム」「未来派」などさまざまな流派を含んでおり、主に「キュビスム」があてはまります。

しかし、1950年以前に限定して考えるなど、捉え方はさまざまです。「近代アート」「現代美術」とも訳すことができ、定義は曖昧ですが主に近代アートと同じ意味合いで使われることが多いでしょう。近代アートの代表作品はフィンセント・ファン・ゴッホの「星月夜」です。

ポップアート

アンディ・ウォーホル作 マリリン・モンロー

出典:Sothebys

ポップアートは映画やコミック、雑誌や報道写真など、世の中で出回っているモチーフを素材としています。たとえば、アンディ・ウォーホルのたくさんのキャンベルスープ缶が並んでいる作品や多くの色彩でマリリン・モンローが並べられた作品が有名です。抽象表現主義の品があり、気高さを否定した世間一般的なテーマを含んでいることが大きな特徴です。

抽象表現主義

抽象表現主義は具体的なモチーフがないのが特徴です。1940年後半から1950年代にかけてニューヨークをメインに流行した芸術スタイルで、1946年にロバート・コーツ(美術批評家)が名付けました。

フィジカルで目立つように絵の具が使われるため、感情的な表現に見えるでしょう。抽象表現主義はヨーロッパではなくアメリカ主導のアートを築き上げました。

パフォーマンスアート

パフォーマンスアートは現代美術の一翼を担っており、多くの人に認知されています。1970年代から1980年代に生まれ、「絵画・彫刻」の作品の異例さを表現した新しい領域として生まれました。

「時間」「パフォーマーの身体」「場所」「パフォーマーと観客の関係」の4つの要素が基本です。基本要素を含むすべての状態でパフォーマンスアートは成立します。このように現場性を重視していることが特徴です。

ミニマルアート

ミニマリズム

出典:TAPiR

ミニマルアートは最小限まで減らして表現するアートです。1960年代のアメリカで流行していたポップアートへの批判や抽象的な表現を受け継いでいます。日本の現代美術にも大きな影響を与えました。

ミニマルアートの代表アーティストはアメリカのドナルド・ジャッドです。日本では桑山忠明が有名で、現在でもミニマルアートのアプローチを続けています。

フォト・ペインティング

フォト・ペインティング(写真投影)とは、ゲルハルト・リヒターが広げたアートの手法です。写真を精密にコピーして輪郭をぼかしており、ピンボケした写真のような仕上がりが特徴です。

代表的な作品は1962年に新聞の写真を題材に制作された「机」が挙げられます。フォト・ペインティングの初期の作品は白黒ですが、カラーの作品の油絵による「エマ(階段のヌード)」も有名です。

ネオポップ

ネオポップアートは日本から発信されたジャンルで、ポップアートがより発展した手法といえます。1990年前後に日本の若手美術家が日本のサブカルチャー(漫画やアニメ)要素を多く取り入れて誕生しました。

日本のアニメや漫画を題材にした日本独自のアートで、ネオポップを代表するアーティストは村上隆や奈良美智、中村政人です。

具体美術

白髪一雄作 アクションペインティング

出典:具体美術協会

具体美術は、吉原治良が芦屋で「具体美術協会」という団体を1954年に設立したのが始まりです。「人の真似をするな、今までにないものをつくれ」の基本理念に基づき活動し、世界で注目されています。

たとえば、白髪一雄は足で描いたり、嶋本昭三は絵具を瓶に入れてぶつけたりと、奇抜でユニークな手法です。具体美術協会はさまざまなカラーを持つ団体で、国際的にも高い評価を得ています。

ポストモダン

ポストモダンアートは、近代アートの側面を否定しつつ、近代アートの余波から発展して誕生したアートです。ポストモダンアートの「ポスト」はラテン語で「〜のあと」という意味で、近代アート後の芸術を意味しています。

ポストモダンアートの代表作は、アンディー・ウォール「金色のマリリン・モンロー」やジェフ・クーンズ「ウサギ」などが有名です。 

有名な現代アーティストの代表作(日本)

村上隆作「727」

出典:MoMA

ここでは、日本の有名な現代アーティストと代表作を紹介します。日本の代表アーティストは以下のとおりです。

  • 草間彌生
  • 杉本博司

現代美術を楽しむきっかけにしてみてください。

草間彌生「黄かぼちゃ」

草間彌生作「黄かぼちゃ」

出典:ベネッセアートサイト直島

生年月日1929年3月22日
ジャンルハプニング・前衛美術
制作年1994年

草間彌生は現代美術の分野で日本を代表するアーティストの1人です。「前衛の女王」や「水玉の女王」と呼ばれています。かぼちゃとドット柄の組み合わせは草間彌生の作品の中で最も有名なモチーフです。かぼちゃがモチーフになった理由は、生家が種苗業であることが影響しているようです。

海や木々による自然の風景の中に、青や緑と黄色や黒のコントラストを生み出しました。「ここにしかない風景」を作り出すことを重点にして設置場所にこだわり、1994年より香川県の直島を代表する屋外アート作品となっています。

杉本博司「劇場」

杉本博司作「劇場」

出典:Hiroshi Sugimoto

生年月日1948年2月23日
ジャンルコンセプチュアル・アート
制作年1993年

杉本博司はニューヨークを拠点とする日本の代表的な現代アーティストです。時間や文化、場所や認識など本格的な要素を写真に残しています。写真は本来、瞬間的に時間を切り取るのが基本ですが、個人の存在を超えた時間の流れや積み重なりを表現することをコンセプトにしています。

代表作品は「劇場」でタイトルのとおり映画館の内部を撮影した作品です。映画が上映されている時間分シャッターを開き続けてフィルムを露光させる手法で、高い技術が求められます。劇場シリーズは世界各地の映画館や劇場に足を運び撮影されています。

有名な現代アーティストの代表作(海外)

美術館内

ここでは、海外の有名な現代アーティストの代表作を3つ紹介します。海外の代表アーティストは以下のとおりです。

  • マルセル・デュシャン
  • アニッシュ・カプーア
  • ドナルド・ジャッド

現代美術の魅力を知るきっかけにしてみてください。

マルセル・デュシャン「泉」

マルセル・デュシャン作「泉」

出典:Wikipedia

生年月日1887年7月28日~1968年10月2日
ジャンルコンセプチュアル・アート
制作年1917年

マルセル・デュシャンは「現代美術の父」や「ダダイズムの巨匠」ともいわれています。20世紀美術に決定的な影響を与えた最も重要な人物です。コンセプチュアル・アートの先駆けであるデュシャンの代表的な作品は「泉」で、普通の男性用便器にR.Muttとサインしただけの作品です。

泉を通して、芸術とは何か問いかけました。目の前の美しい絵画が芸術であるという以前の考え方とは異なり、作品と見る人の創造的対話が求められています。

アニッシュ・カプーア「クラウド・ゲート」

アニッシュ・カプーア作「クラウド・ゲート」

出典:金沢21世紀美術館

生年月日1954年3月12日
ジャンル彫刻
制作年2005年

アニッシュ・カプーアは、インド出身の現代彫刻家で、1991年にターナー賞を受賞した世界でも有名なアーティストです。アニッシュ・カプーアの代表作は「クラウド・ゲート」で、アメリカのシカゴにあるミレニアム・パークに設置されました。アニッシュ・カプーア初のパブリックアートです。

168枚のステンレスからなる作品は、溶接した部分がわからないように鏡面になるまで磨き上げられています。作品の表面が鏡のようになっているため、天気で光の反射が変わり、周りの景色も影響して日々表情を変えるアートです。

ドナルド・ジャッド「無題」

ドナルド・ジャッド作「無題」

出典:MoMA

生年月日1928年6月3日~1994年2月12日
ジャンルミニマル・アート
制作年1991年

ドナルド・ジャッドはミニマルアートを代表するアーティストで、「スぺシフィック・オブジェクト(明確な物体)」というコンセプトを掲げました。ミニマル・アートの特徴はアーティストの心情や社会情勢とは関係なく、物体自体が純粋に芸術作品として成り立つのかなどを徹底的に追求した点です。

作品自体は単純な色や直線、面のみで構成したシンプルな作風です。また、木や鉄などの産業で使用されている素材が使われています。ドナルド・ジャッドは1986年にシナティ財団を設立し社会的にも大きく貢献したアーティストです。

現代美術を楽しめる日本の美術館

美術館の風景

最後に、現代美術を楽しめる日本の美術館を3つ紹介します。

  • 東京都現代美術館
  • 金沢21世紀美術館
  • ベネッセアートサイト直島

それぞれ詳しくみていきましょう。

※営業時間や入館料、休館日などの情報は変更される場合があります。最新情報については公式ウェブサイトにてご確認ください。

東京都現代美術館

東京都現代美術館の外観

出典︰東京都現代美術館公式サイト

東京都現代美術館は、1995年に開館し、芸術文化の基盤を築くことが目的です。東京都現代美術館には、5,800点の収蔵作品があり、コレクション展示室で「MOTコレクション展」を開催しています。

1年間を3期または4期に分けてユニークなテーマで収蔵作品の中から100〜200点を厳選して紹介しています。また、期間限定で展覧会も実施しており、国際展や特色のある企画展示など、彫刻や絵画、建築など幅広いジャンルが楽しめるでしょう。

休館日・月曜日
・展示替え期間
・年末年始
営業時間10:00~18:00
(展示室入場は閉館30分前まで)
入館料【TOKYO ART BOO FAIR】
・一般 1,000円 (オンライン事前予約)
・2点セット券(MOTコレクション・企画2展) 一般 3,300円
【企画展(坂本龍一)】
・一般 2,400円
MOTアニュアル2024】
・一般 1,300円
【MOTコレクション】
 ・一般 500円

金沢21世紀美術館

金沢21世紀美術館の外観

出典:金沢21世紀美術館公式サイト

金沢21世紀美術館は、石川県金沢市に位置しており、さまざまな現代美術作品を収蔵しています。「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」のコンセプトで開館されました。妹島和世と西沢立衛がSANAAとして美術館の建築に携わっており、展覧会や家具デザインなど空間構成など幅広く手がけています。

金沢21世紀美術館では、さまざまな展覧会が企画されており、ポップ・アップアートやデジタルアート、写真展などが期間限定で開催されています。

休館日展覧会ゾーン 月曜日(月曜が祝日の場合は開館、翌日に休館)
年末年始(12/29~1/1)
交流ゾーン 年末年始(12/29~1/1)
各施設の休室日は展覧会ゾーンと同様
営業時間展覧会ゾーン 10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
交流ゾーン 9:00~22:00
各施設により開室時間が異なります
入館料【すべてのものとダンスを踊ってー共感のエコロジー (期間:2024/11/2~2025/3/16)】
・一般1,400円
【コレクション展2 (期間:2024/11/2~2025/3/16)】
・一般450円
【交流ゾーン(期間2024/10/12~2025/1/19)】
・ 無料

ベネッセアートサイト直島

ベネッセアートサイト直島

出典:ベネッセアートサイト直島

ベネッセアートサイト直島は、アーティストの大竹伸朗がプロデュースした実際に入浴できる美術施設です。今では、直島島民の活力源となっており、国内外からの観光客と島民で賑わっています。

銭湯として作られた外観や内装はもちろん、浴槽やモザイク画、風呂絵やトイレの陶器などすみずみまで大竹ワールドが楽しめるでしょう。また、草間彌生の黄かぼちゃは屋内美術館ではなく、屋外の瀬戸内海の自然の中に設置されています。

休館日・月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
※メンテナンス期間は臨時休館(要確認)
営業時間13:00~21:00(最終受付20:30)
入館料660円

まとめ

チームラボ Microcosmoses - Jelly(仮) 

出典:Tokyo Art Beat

この記事では、現代美術の定義や楽しみ方を解説しました。現代美術は見ている人と作品の思考の対話です。時代の社会情勢や問題を反映して表現されているため、ただ見るだけではなく、作品を通じてその時代背景に潜む問題提起を体感できます。この記事を参考に、現代美術を楽しむきっかけにしてみてください。

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