アートリエ編集部が、ビジネスを飛躍させるアート思考について詳しく解説します。
アート思考という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。そんなアート思考について、身につける方法やビジネスに取り入れるメリットなどを知りたいという方も多いのではないでしょうか。アート思考はビジネス面でも飛躍的なアイデアを出せることから、多くの経営者や経済産業省が注目しています。
そこでこの記事では、ビジネスに活かせるアート思考の概要やアートがビジネスに必要な理由・メリット・身につける方法を紹介します。この記事を読めば、アート思考について理解できるので、身につけたい方はぜひ参考にしてみてください。
ビジネスを飛躍させる「アート思考」とは?

「アート思考」とは、「0→1」を生み出す発想のことです。アート思考が備わっていると、独創的なビジネスモデルや商品、サービスを生み出せます。
実際に、独創的なビジネスを成功を遂げた経営者の中には、アート思考を持つ人が少なくありません。アート思考は、ビジネスを飛躍させる要素の1つといえるでしょう。
アート思考をビジネスで活かす思考回路

アート思考をビジネスで活かすためにも、思考回路を身に付ける必要があります。身に付ける手順は、以下のとおりです。
- アート作品を見る
- アート作品から得た情報を深掘りしていく
- アート作品について感じたことをアウトプットする
- アート作品に関する他の人の意見に耳を傾ける
アート思考を身に付けるには、身近にあるアートを見て、インプットやアウトプットを継続していくことが大切です。言語化と思考の吸収を意識することで、アート思考について言語化でき、思考の幅が広がります。
上記はアート思考を学び始める基本の手順ですが、実際に定着させるためには「好きなアートを追い求める」「新しい観点で見る」など、日常的な習慣づけが大切です。
その結果、アート思考をビジネスで活かす思考回路が身につき、自然に独創的なアイデアが生まれます。
アートがビジネスに必要な理由

アートがビジネスに必要な理由は、以下の2つです。
- ビジネスで一期一会の出会いが重要になりつつあるから
- AIの台頭でクリエイティビティの高い仕事が重要になっているから
1つずつ順番に解説します。
ビジネスで一期一会の出会いが重要になりつつあるから
アート思考をビジネスに活用することで、出会いの大切さがわかるようになります。近年ではメールやチャットでの会話が増えており、顔を合わせてコミュニケーションを取る機会が少ないのが現状です。
アート思考を持ち、さまざまな人との出会いが増えることで、ビジネスの成長も期待できます。
AIの台頭でクリエイティビティの高い仕事が重要になっているから
AIの台頭により、考える必要のない単調な作業は、人の手が不要になりつつあります。しかし、AIでは超えられない領域があります。それが、アート思考を持つビジネスです。アート思考を持つビジネスは、AIには超えられない人間の感性や想像力がもとに構築されています。
具体例として、動画クリエイターが挙げられます。動画クリエイターは、人の感情を左右する職種のため、今後もアート思考が必要です。将来的には、感情を必要としないビジネスはAIに置き換わり、アート思考を持つビジネスがより重要になっていくと考えられます。
ビジネスにアート思考を取り入れるメリット

ビジネスにアート思考を取り入れることで、以下のメリットが感じられます。
- イノベーションを生み出すことができる
- AIでは代替できないアイディアを提示することができる
それぞれ解説します。
イノベーションを生み出すことができる
アート思考を持つことで、イノベーションを生み出すことが期待できます。イノベーションとは、ビジネスモデルやサービスなどに革新的な技術やアイデアを取り入れ、従来にはない新しい価値を創出することです。
アート思考には正解・不正解がありません。取り入れることで無限の可能性が広がり、意見を出しあえる環境が生まれるため、さらなるイノベーションを期待できます。
AIでは代替できないアイディアを提示することができる
AIが持つロジカルな思考は、自由な発想を主とするアート思考を兼ね備えていません。アート思考を取り入れると、AIでは代替できないアイディアの提示が可能です。
AIによるビジネスモデルは、多くの経営者が目にする内容のため、二番煎じになる可能性が高いです。アート思考を活用したビジネスは、唯一無二のアイデアになるため、他者も真似できません。
これからのビジネスとアートの関係

これからのビジネスとアートには、以下の関係が期待できます。
- クリエイティブに「毒」を取り入れて人の感情を動かす
- 新規事業や改革に「恐怖」を入れて人の感情を動かす
順番に解説します。
クリエイティブに「毒」を取り入れて人の感情を動かす
新しいアイデアが生まれても、人の感情を動かせなければ、ビジネスの周知は難しいのが現状です。アート思考を活用したアイデアを最大限に引き出すためにも、毒を入れて人の感情を動かすことが大切です。ここでいう「毒」とは、刺激を指します。
商品を販売する際に良い面だけ見せると、「嘘の情報かもしれない」と疑いをもたれることもあります。信憑性を高めるためにも、悪い面も合わせて伝えると効果的です。良い面と少しの悪い面を見せることで信憑性が生まれ、興味も持ってもらえます。
新規事業や改革に「恐怖」を入れて人の感情を動かす
新たなビジネスに「恐怖」のスパイスを入れることで、人は更なる興味を持ちます。ここでいう恐怖とは、予測不可能な状態を意味します。映画を見る際に、簡単に予測できる内容だとつまらないと感じる方も多いはずです。
ビジネス面でイメージができない内容であれば、人はリスクを感じます。このリスクを避けるために、意欲を持って新規事業に取り組む方がほとんどです。「ハラハラ」「ドキドキ」の恐怖により、ビジネスに深い興味を持ってもらえるきっかけにもなるでしょう。
ビジネスに役立つアート思考を身につける方法

それでは、日常的に習慣化し、さらに深めていくためにはどうすればいいのでしょうか?
ビジネスに役立つアート思考を身に付ける方法は、主に以下のとおりです。
- 好きなアートを追い求める
- 新しい観点でアートを見る
- 積極的にアウトプットをする
1つずつ順番に解説します。
好きなアートを追い求める
アート思考を身に付けるには、好きなアートを追い求めることが大切です。好きなアートは、自然に探究心が深まり、深い思考が生まれます。観察したり、想像したりしやすいため、ストレスのないアウトプットも可能です。
好きなアートでなければ、余計な雑念やストレスに繋がるため、継続ができない可能性があります。アート思考を培うには、日常的なインプットが重要です。絵画や映画、歌舞伎などで好きなアートを見つけ、日常的にアート思考を持てるよう訓練しましょう。
新しい観点でアートを見る
アート思考は、当たり前の視点や観点からの脱却が重要です。今まで当たり前に見ていた、場所や角度を変えることが大切です。新しい観点でアートを見るには、「なぜ?」という疑問を持つことが求められます。
些細なことでもいいので、当たり前のことに疑問を持ち見方を変えることで、今までにない思考を身に付けられます。
積極的にアウトプットをする
アート思考を身に付けるには、積極的にアウトプットすることが大切です。アウトプットすることで、他者からの情報が得られ、思考の幅が広がります。アウトプットの方法は、SNSや対面でのコミュニケーションなどさまざまです。
自分の考えていることを伝えてみることで、他者からの反応を感じ取り、自分の思考も言語化できるようになります。インプットだけでは効果がないため、アウトプットと組み合わせるようにしましょう。
ビジネスにアートを取り入れた事例

ここからは、ビジネスにアートを取り入れた事例を紹介します。
- 寺田倉庫株式会社・マネックスグループ株式会社・株式会社スマイルズ
- 株式会社NOVEL
- ビジョナル株式会社(株式会社ビズリーチ)
- リンクタイズ株式会社
- 株式会社ジンズホールディングス
それぞれ1つずつ確認していきましょう。
寺田倉庫株式会社・マネックスグループ株式会社・株式会社スマイルズ
アートに関わる取組を活発に実施している3社の事例です。日常的にアートと関わる3社と一般企業を比較したところ、すべての項目でアートの3社が平均スコアを上回っています。以下は、株式会社電通の電通報に掲載された調査データです。

出典:株式会社電通 電通報「ビジネスにおけるアートの効果をどうやって検証するか?」
この結果から日常的にアートに触れることで、無意識にアート思考に近づき、ビジネスに活かされることがわかります。
株式会社NOVEL
株式会社NOVELでは、オフィスの一部をアートギャラリーとして開放し、月替わりで若手アーティストの個展を開催しています。ギャラリーの開催は、実際にアーティストと関わることで、アート思考に近づくことが目的だったとされています。
ギャラリーを開催することで、さまざまなアートに触れることも可能です。また、アーティストの純粋な創作活動ができない企業構造を解決するべく、毎月「ART SPACE GALLERY」といったイベントを開催しています。
ビジョナル株式会社(株式会社ビズリーチ)

出典:VISIONAL
ビジョナル株式会社のCTO(最高技術責任者)として経営をリードしてきた経歴を持つ竹内真氏は、アート思考をビジネスに深く落とし込んでいる人物です。
竹内真氏は、「アートは新しく物事を生み出したり、想像力を高めたりするのに効果的である」という考えから、渋谷にあるオフィスのエントランスに、アート作品の展示スペースを作りました。
目まぐるしく変わり続ける現代の中で、「新しい可能性を、次々と。」というミッションを達成するために、アートを取り入れています。
経営の中心メンバーにアート思考を持つ人物がいることで、組織全体に独自の空気感が醸成され、他のメンバーにも波及していきます。ビジョナル株式会社は、アート思考が組織全体に浸透し、ビジネスにも反映されている企業の1つです。
リンクタイズ株式会社
リンクタイズ株式会社は、「ビジネスにおいて新しいアイデアや価値観が生まれるためには、アートとの交わりが重要である」という考えからForbes JAPANを運営しています。
Forbes JAPANでは、アートとビジネスの架け橋になるよう「Forbes JAPAN ART & BUSINESS PROJECT」を運営しています。さらに、経済産業省から委託を受けて、ロールモデルとなる企業を表彰する「ART & BUSINESS AWARD」を開催しています。
株式会社ジンズホールディングス
株式会社ジンズホールディングスの東京本社では、「美術館×オフィス」をコンセプトとして、移転と同時にギャラリースペースを作りました。商談室前の入口にギャラリースペースがあり、社内だけではなく、社外の方もアートに触れられる機会を提供しています。
また、株式会社ジンズホールディングスが運営するJINSの各店舗の内装には、アートが取り入れられており、他社や競合との差別化を図ることに成功しました。さらに、一部地域では、その地域に縁があるアーティストを招いて、アートショップを開催しています。
経済産業省が押し出したビジネスのアートの可能性

経済産業省では、ビジネスのアートの可能性を追及しています。経済産業省の「アートと経済社会について考える研究会報告書」によれば、アートには以下の価値があると推測されています。
- 本質的価値(美学的価値、感動を与える力)
- 経済的価値(経済波及、雇用創出、にぎわいの創出、地域のブランディングなど)
- 社会的価値(教育的効果、心身のケア、コミュニティの形成など)
経済産業省の報告書では、AIにより代替可能な領域が広がる中で、代替されにくい創造性や感性の重要性が指摘されています。こうした背景から、独創的なアイデアを生み出すアート思考が注目されています。
まずは、アート思考を主とした事案を作っていくためにも「アートと企業・産業」「アートと地域・公共」「アートと流通・消費」「アートとテクノロジー」の4本柱で可能性を見いだすことが可能です。
最初はレンタルで少しずつアートを取り入れるのがおすすめ

アート思考を培うためには、アートを購入するのではなく、レンタルから始めるのがおすすめです。PwCコンサルティング合同会社の「我が国の文化芸術コンテンツ・スポーツ産業の海外展開促進事業」では、アートをレンタルするメリットとして以下の4つが挙げられています。
- 導入コストやメンテナンスコストを抑えられる
- 資産登録が必要ない
- 管理や保管の負担を軽減できる
- いつでも別の作品と入れ替えられる
アートのレンタルは毎作品、購入する必要がなく、定期的に入れ替えられることから、アート思考を鍛えるのに適していると言えます。アートは、1ヶ月や数ヶ月単位でのレンタルも可能です。まずはレンタルから始めて、アートを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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まとめ

この記事では、アート思考の概要やメリット、身につける方法を紹介しました。
アート思考は、他にはないビジネスの考えやアイデアを生み出せる、経営者には持っておきたい思考の1つです。簡単には身につきませんが、日常的にアートに触れることで、自然に得られます。
この記事を参考に、アートに触れて、アート思考を身につけましょう。
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